イノベーション⑧ 語源からイノベーションを考える

 

ここに辿り着くまでの思索の旅を、道順にまとめた。「イノベーションとは」「イノベーションのプロセス」「イノベーションが生み出す変化」を纏めると、次のようになる。
 

イノベーションとは

  • 二つ以上の異質な何かが出会って、核のような何かが在ることに気づき、新たな価値を発見し、新しい世界を創造すること
  • 何かを新たに創るのではなく、元々在った何かを創り直すこと
  • 新たな価値観や世界観をみせて未来を創ること

(大切なこと)

  • 外側のみえやすい世界ではなく、内側のみえにくい世界に目を向けること
  • “ない”と思っている中に“在る”ものに、目を向けること
  • 何かを創造することよりも、何かの存在に気づき・発見すること
  •  

イノベーションのプロセス

注意 ⇒ 出会い ⇒ 気づき ⇒ 発見 ⇒ 発想 ⇒ 創造
             ↓      ↓
             変容      変革
 

(大切なこと)

①無 ⇒ ②在 ⇒ ③有

①  固定概念の外にある無意識など、みえていないものに注意を向ける

②  “ない”のではなく、何かが“在る”ことに気づく

③  新たな価値や可能性などを発見する

 

イノベーションが生み出す変化

私が変化を促して、社会が社会を変える
 

(変化の起こり方)

私の“内側”で、変化が起こる

私の“外側”の相手に、変化が起きていく

相手の“内側”でも、変化が起こる

 

(変化のカタチ)

変容 : 内側に、意識を深めることによって起こる

変革 : 外側へ、価値観や世界観を拡げていくことによって起きていく

 

イノベーションについて、私が探し求めた答えに辿り着いた。辿り着いたと同時にあることが気になった。
 

一般的な考えと私が辿り着いた考えに、なぜ差があるのか。
 

鍵は、“イノベーションという言葉そのものにあるのではないか”とふと思った。
 

「教育」
 

教育という漢字から受けるイメージ「教える」に違和感はないだろうか。従来の「知識詰め込み型教育」と「先生から生徒への上から下への関係性」は、今求められている教育と違う。なぜそうなのかと思い、いろいろ調べた。「教える」は英語で“teaching”。今求められている教育は「能力引き出し型教育」で、先生と生徒の関係性から引き出すの“coaching”に近い。
 

何となくわかったがスッキリしなかったので、教育の英語“education”に注目した。そこで興味深いことを知った。ラテン語の“educere”を語源とし、 “e-(外へ)+ducere(導く)”からなる。ラテン語からの意味では、「能力を外へ引き出す」になる。語源の意味が、本来の教育ではないだろうか。そこでイノベーションも語源を遡ることで、本来の意味を知ることができないかと思う。
 

「イノベーション」
 

イノベーションは英語で“innovation”、動詞“innovate”の名詞形である。意味は「革新する/刷新する」で、これらの意味からイノベーションは「技術革新/新機軸」と呼ばれている。教育同様に語源を遡ると、ラテン語の動詞“innovare”の完了形に由来し、意味は「リニューアルする」とある。そして“innovare”は、“in-(内へ)+novare(新しくする)”からなる。
 

リニューアルとは、「古くなったものを新しくする(新・装・開発)」こと。古くなったものは外にはなく、内にあり元々在ったもの。イノベーションとは、無(0)から有(1)ではなく、「元々在った何かを、創り直すこと」。ここに辿り着いて、約半年間の思索の旅も終わりを迎えた。
 

「イノベーションとは、何か②」でイノベーションをプロセスからみたときに、次のように書いた。

プロセスからみると、「創る」というよりも「創り直す」、に近いのかもしれない。何かを新たに創るのではなく、元々在った何かを創り直す。

 

途中まではうっすらみえていたものが、今ははっきりとみえる。今まで、私が書き顕してきたイノベーションを別の角度から光をあてて確認することができた。最後に整理したいことがある。
 

何と何が結合するのか。
 

イノベーションの意味の「新結合」から、私はイノベーションを次のように考えた。
 

二つ以上の異質な何かが出会って、核のような何かが在ることに気づき、新たな価値を発見し、新しい世界を創造すること。」
 

二つ以上の異質な何かが出会うとは、結合することである。今までの文章から、出会うモノを、内側と外側という視点で整理する。内側と外側は同質ではなく、異質なものである。
 

「私」と「相手」
「意識」と「無意識」
「意識」と「価値観、世界観」
「意識」と「固定概念の外」
「みえていない」と「みえている」
「注意 ⇒ 気づき ⇒ 発見」と「発想 ⇒ 創造」
「起こる、起こす」と「起きている、促す」
 

最後になるが、従来のイノベーションの考え方は西洋思考をベースにしていると思う。この西洋思考的のイノベーションだけでは、ビジネスも社会も限界にきている。これからは、「東洋思想をイノベーションに加えることで、ビジネスも社会もさらによくなる」と考えるようになった。内側で東洋思想的なイノベーションの変容が起こり、外側で西洋哲学的なイノベーションの変革が起こる。変容と変革がつながって、イノベーションが起こる。統合ではなく結合であることに、大きな意味がある。
 

私が辿り着いたこのイノベーションの考えは、私のオリジナルの考えではない。似たような考えをもっている人がいて、その人たちからアイデアなどをもらった。本を読むことで、過去の人の考えや考え方から刺激をもらった。ニュートンは次のように言った、「もしも私がほかの人たちよりも遠くを見たとすれば、それは巨人たちの肩の上に立ったおかげなのです」と。「イノベーション思索の旅について」で触れたが、いろいろな人たちの存在があったから、今文章となって形として顕れた。無からは決して生まれなかった。
 

私が考えるイノベーションは広義の意味で、一般的なイノベーションは狭義の意味、その違いだけかもしれない。しかし、物事を狭く細かくする定義化に意味はないと思っている。それは、視野を狭め、定義の外にある無限の可能性を奪っていくから。特にイノベーションを考える場合は。
 

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